海外赴任の際に、証券口座はそのまま維持できる?証券会社ごとの比較も

Yuyuki Tanno

この記事では、海外赴任の際に証券口座をそのまま使えるか解説します。主要証券会社の対応や、解約手続きが必要なときにそのまま使ったらデメリットがあるか、海外からの送金が必要になったときに便利なWise(ワイズ)などもご紹介します。

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目次 🔖

海外赴任後でも、証券口座をそのまま維持できる?

海外赴任が決まったときに証券口座をそのまま維持できるかどうかは、証券会社によって異なります。

証券会社によって主に2つのパターンがあります。

  • 海外赴任の際は証券口座をそのまま維持できず、解約しなければならない
  • 海外赴任の際にも一定条件のもとで証券口座をそのまま維持できる

日本の多くの証券会社は海外赴任時に証券口座をそのまま維持できないため、原則的に解約が必要です。

日本の多くの証券会社は国外での金融商品取引業務を行う資格がありません。また、海外赴任するユーザーが日本の非居住者として海外で証券口座を使って取引してしまうと、ユーザー自身が赴任する国の法令に抵触する可能性があります。そのため、原則的に海外赴任の際に証券口座を解約することになっているのです。

ただ、一部の証券会社に関しては、一定条件のもとで証券口座をそのまま維持することもできます。

海外赴任中に証券口座を持ち続けてバレた時のデメリット

海外赴任後もそのまま証券口座を維持していた場合、ばれたときにデメリットがあります。

  • 証券口座で取り引きすることで、赴任先の国の法令に抵触する可能性がある
  • そのままにしていた証券口座を凍結される可能性がある
  • 仮に口座を凍結されると、凍結解除のために手間や時間がかかる
  • 証券会社側にばれたときに今後の取引を拒絶される可能性がある
  • 税務署に証券取引の適切な税務申告を行っていないと疑われる可能性がある

海外赴任時に解約が必要な証券口座をそのままにすること、そしてそのまま使ってしまうことには手続きや税務上のデメリットがあります。

なお、「黙っていればそのまま証券口座を使ってもばれないのではないか」と思うかもしれません。各国の税務当局は共通報告基準(CRS)¹に沿って情報をやり取りしています。脱税や租税回避のためです。

各国が情報をやり取りしている関係上、証券口座をそのまま使っていてもばれてしまいます。デメリットを回避するためにも、証券口座の手続きは事前にしっかり行うことをおすすめします。

居住者・非居住者の定義

海外赴任の手続きでは居住者・非居住者という言葉が頻繁に登場します。

そのため、ご自身では「自分は海外赴任で非居住者になるのか判断できない」といったケースも少なくありません。

居住者・非居住者には次のような定義があります。居住者の定義に当てはまっていれば居住者で、非居住者の定義に該当していれば非居住者です。²

  • 居住者:国内に住所を有し、現在まで引き続き1年以上居所を有する人
  • 非居住者:日本における居住期間が1年未満の人、生活の中心が日本以外の海外にある人

居住者と非居住者については別の記事でも説明していますので、参考にしていただければと思います。

関連ページ 💡 非居住者とは?定義をわかりやすく解説!

海外赴任者に対する証券会社ごとの対応一覧

海外赴任者に対する証券口座の扱いは証券会社ごとに異なります。

代表的な証券会社の対応についてまとめました。

証券会社名(総合証券会社またはネット証券会社)証券口座の維持新規取引解約や維持の注意点
野村證券(総合証券会社)³

×特定口座は廃止・一般口座で保有のみ可。新規取引不可。帰国時に特定口座へ再組入れ可(所定手続要)。NISA継続は海外転勤等のみ最長5年。
三菱UFJ・モルガン・スタンレー證券(総合証券会社)⁴××基本的に証券口座は解約

条件付きで継続できる可能性がある

SMBC日興証券(総合証券会社)⁵××基本的に証券口座は解約

証券会社が承認した場合は継続できる可能性がある

SBI証券(ネット証券会社)⁶×所定手続で口座維持可。非居住者は全取引停止・保有のみ。保有可能商品は限定。NISA/特定口座継続は海外転勤者と配偶者のみ。
楽天証券(ネット証券会社)⁷×所定手続で維持可(最長5年)。非居住者は売却のみ。NISA継続は海外転勤者・配偶者のみ。
マネックス証券(ネット証券会社)⁸××原則解約。保有残高がある場合は休眠口座として維持可(出金のみ可)。NISA継続は海外転勤者・配偶者のみ。
三菱UFJ eスマート証券/旧auカブコム証券(ネット証券会社)⁹××原則解約。所定手続で最長3年まで口座維持可(国内株現物のみ・全取引停止)。

海外赴任した際、野村證券の口座に必要な対応

野村證券で特定口座を持っている人は、海外赴任にあたり特定口座を廃止し、口座内に保有していた資産を一般口座に払い出す必要があります。この一般口座を持ち続けることは可能です。

海外赴任時と帰国時に手続きをすることで、払い出した分を特定口座に組み入れることも可能になっています。

海外赴任した際、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の口座に必要な対応

三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、海外居住する人の口座は解約する必要があります。

ただし、必要書類の提出など一定の条件を満たすことで口座をそのまま維持できる可能性があります。

必要書類や手続きなどについては取引している支店に問い合わせてください。

海外赴任した際、SMBC日興証券の口座に必要な対応

SMBC日興証券でも、居住者でなくなる場合は証券口座の解約手続きが必要です。

しかし所定の手続きを行い、SMBC日興証券が承認した場合は、口座をそのまま維持できます。詳しくは取引している店舗に確認してみましょう。

海外赴任した際、SBI証券口座に必要な対応

SBI証券では、証券総合口座やNISA口座、特定口座をそのまま継続可能です。

ただ、海外赴任の際にそのまま証券口座を継続するためには条件がある他、すべての取引が制限される仕組みになっています。

海外赴任した際、楽天証券口座に必要な対応

楽天証券のユーザーは、1年未満の海外赴任であれば、特に手続きせずそのまま証券口座を継続できます。

1年以上5年未満で日本を離れる方は、事前の手続きが必要です。

また、日本株式と個人向け国債であれば継続保有できます。一方、5年以上日本を離れる方は、解約手続きや保有資産の売却手続きが必要になりますのでご注意ください。

なお、海外赴任先が米国の場合は、以下A/B いずれか多い方が183日以上だと手続きが必要です。

A:連続して米国に滞在する日数

B:以下の合計日数

  • 出国する年の米国滞在日数
  • 出国する前年の米国滞在日数の1/3
  • 出国する前々年の米国滞在日数の1/6

海外赴任した際、マネックス証券口座に必要な対応

マネックス証券では、海外赴任などで長期間出国する際は証券口座の解約が必要です。

残高を解約できない事情がある場合は、休眠口座として口座を維持することもできます。ただ、信用取引やFXなどの残高は売却する必要があります。

休眠口座になると出金以外がすべて制限されるため、その後に株式などの売却ができなくなります。

海外赴任した際、三菱UFJ eスマート証券(auカブコム証券口座)に必要な対応

三菱UFJ eスマート証券では、海外赴任の際に原則的に証券口座を解約する必要があります。

ただし、出国日から3年以内に帰国するなど、一定の条件を満たすことで口座をそのまま継続可能です。仮に口座を継続しても取引は制限されますので、注意してください。

海外生活におすすめ:Wise(ワイズ)

海外生活におすすめ:Wise(ワイズ)についての画像

海外赴任中には、日本の銀行からの海外送金を受け取ったり、こちらから送金したりする機会は増えるでしょう。また、現地での生活費の支払いや現金の引き出しなども必要になります。そんな海外生活の様々な場面で役立つのが、Wiseです。Wiseには、海外での生活をより便利にする3つの機能が備わっています。

1. よりお得で迅速に海外送金

一般的な銀行や送金サービスを利用すると、両替のための為替手数料が為替レートに上乗せされます。しかしWiseでは、この為替手数料がかからないリアルレートで送金できるため、余計なコストを省いてより多くのお金を送金できる点が魅力です。銀行より最大7倍お得で、すでに1200万人以上が利用している信頼のサービスです。

また、日本の銀行から海外送金すると、早くても数日、遅いと数週間程度の時間がかかってしまいます。一方Wiseであれば、翌営業日〜数日で着金するなど、送金スピードが銀行に比べて早い場合が多いです。送金を受ける側にとっても安心材料になるでしょう。

2. 23通貨の口座情報で資金を受け取り

Wiseではマルチカレンシー口座を用意しています。この口座では、40通貨以上を同時に管理し、好きな時に格安の両替手数料でお得に両替が可能です。

さらに、米ドルなどの23通貨であれば、現地での口座情報を取得でき、手数料無しで給料などを受け取ることができます。移住先で海外の銀行口座を開設する必要がないかもしれません。

3. 外貨決済がお得なWiseデビットカード

赴任先でマルチカレンシー口座に紐付けされたWiseデビットカードを使えば、格安の両替手数料で世界中で支払いや現金の引き出しができます。普通のクレジットカードの海外事務手数料が2-3%であるのに対し、Wiseの手数料は0.66%(日本円→米ドルの場合)とコストが抑えられます。

また、現地で急に現金が必要になった場合は、Wiseのデビットカードを使うと、海外ATM手数料が月2回かつ3万円までは手数料無料で引き出すことができます。

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まとめ

海外赴任では証券口座をそのまま維持できるかなども問題ですが、生活のための資金の送金も問題になります。

Wise(ワイズ)は安い手数料で海外送金できるサービスです。また、Wiseデビットカードは多くの国で使えるため、海外赴任時の決済に便利です。

海外赴任時に困りがちな海外送金や決済の問題をWiseで解決してください。


ソース
  1. 共通報告基準(CRS)に基づく自動的情報交換に関する情報(「CRSコーナー」)|国税庁
  2. No.2875 居住者と非居住者の区分|国税庁
  3. 海外へ転出されるお客様の口座に関するご案内
  4. 海外へ転居する際の手続方法を教えてください。 | よくあるお問合わせ | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社
  5. 海外へ転居する場合の手続きについて教えてください。
  6. 海外出国時(非居住者)の手続きについて|SBI証券
  7. 海外出国のお手続き | 楽天証券
  8. 海外出国時(非居住者)の手続きについて | ヘルプ・お問合せ | マネックス証券
  9. 海外出国・帰国手続 | 三菱UFJ eスマート証券(旧社名

*最新の手数料に関する情報は、お住まいの地域の利用規約およびサービスの利用条件をご確認いただくか、Wiseの手数料ページをご覧ください。これは一般的な情報提供を目的としたものであり、Wise Payments Limitedまたはその子会社、関連会社による法律、税務、その他の専門的なアドバイスを意味するものではありません。また、ファイナンシャルアドバイザーやその他の専門家によるアドバイスの代わりになるものではありません。



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